教えて塾長!子育て真っただ中のママが聞く、塾って受験しなくても行っていいの?
2023/08/08
楠教育スタッフ由実子さんが子育て真っただ中のママとして普段思っている塾の不思議や子育ての悩みを塾長にぶつけるコラム「教えて塾長!」
目次
受験をしなくても、塾って行ってもいいの?
由実子
「教えて塾長!」ということで本日が第一回ということもあり若干緊張していますが、よろしくおねがいいたします。
早速ではありますが、子育て真っただ中の私から塾長にいつか聞いてみたい!と思っていたことを質問させていただいてもよろしいでしょうか?
野村
はい!なんでもどうぞ!
由実子
今後子どもの学習について悩むことも増えて来るんだろうなー、とただ今は漠然と感じているのですが、受験をしなくても、塾って行ってもいいの?っていうことについてこの機会にぜひお伺いしたいです!
野村
なるほどー!ありがとうございます。受験しないけど、塾に行ってもいいのかということですね。
行ってもいいですか?と言われると、もちろん行っても大丈夫です!…というところなんですけど、目的があるんならね!と私は思うんです。塾を選ぶ時って、「受験だから」「苦手だから」「なんとなく不安だから」とか、「みんな行ってるから行かなきゃいけないんじゃないか」とか、いろんな理由があると思うんです。例えば、小学校4年生になったからとか、中3だからとかも…まあ中3は行った方がいいと思うけど!
由実子
高校受験ですしね!
野村
そうそう笑
でも、小学校4年生だからとか、受験はしないんだけどとりあえず…みたいなところだったら、 あんまりおススメはしないですね。
由実子
塾長。塾の人なのに通うのおススメしないって…笑
野村
まあ…本来不要な人に無茶売りはしたくないですからね。
目的がある場合の塾探し
野村
今日はせっかくの機会なので2パターンに分けて考えていきたいと思います。
まず一つ目。目的がある場合。色々あると思うんですよね。学校の先生に「これ苦手なんでお家で頑張ってください」って言われたり、通信簿にもう少しがついちゃったりとか。あとは、良かった成績が普通に下がっちゃったとか。ま、苦手が出てきてしまった場合ですよね。そういうのがあった時には塾は使ってもらってもいいかと思います。
由実子
不安ですもんね。
野村
そうそう。不安なままが一番良くないです。で、ここで一つポイント。塾の「使い方」も大事って話。
普通に通い始めても全然いいんですけど、やっぱ塾も商売なんで、生徒さんにはずっと続けてもらいたいって思うんですよね。だからいつの間にやらずっと続けることになっちゃう。もちろん塾側が良い指導をして続けてもらおうとして、生徒さん保護者さんも満足して続けていただけるのであれば問題ないように見えるんですが…ちょっと待って!「もう少し」をなんとかしたいっていうのがそもそもの目的だったわけですよね?と…
由実子
私の周りにもいます!まあでも塾だから悪いことしてるわけじゃないし?って思いますけど…ダメですか?
野村
いやーそう考えてもらえたら塾としてはありがたいですし、全然ダメじゃないんですけど…基本はご家庭で判断して続けてもらえればと思うんです。ただ、重要なのは目的を達成した後。うまくいけばいくほど一種の強迫観念にかられがちだと思うんですよ。塾やめたらまた成績落ちちゃうんじゃないの?みたいな。
由実子
思っちゃうかも…
野村
でしょ。まあでも今日のお話はそれが悪いってわけでもなくて。「塾に行っているのに成績が上がらない」=「塾が役に立たない」ではなくて、「塾に行っているのに成績が上がらない」=「塾が無ければどん底」ってケース。確かにこれは事実としてあります。今言いたいのは強迫観念が良いか悪いではなくて…最初の目的なんだっけ?ってのを思い出そうよってお話。
由実子
なるほど…
野村
目的達成後が鍵なんです。勉強って誰かにやり方習ったらできるわけじゃなくて、その習ったやり方を定着させて、点数が取れて初めて完了になるわけですよね。で、この苦手OK!ってなったとき。ここでお子さんの学習習慣から見てほしいんです。お家での学習習慣がもうできていて、苦手が生まれにくい姿勢になってます!っていうことであれば、もうやめてもいいと思います。ところが、学習習慣がない、塾が無いと勉強しない、塾があるから勉強できているっていう場合は、続けないと当然それが終わってしまう。このどっちかを冷静に見てほしいんですね。
由実子
学習習慣ですね。なるほど!
野村
塾は生徒さんの学力を上げるための道具です。なので、機能としてその時その時で有用かどうかで判断してもらいたいっていうところですよね。これは目的がある場合、受験に対してもそうですが、受験が終わったら続けるのか続けないのかっていうのはまた重要なお話なんですけど、そこは考えどころですね。塾目線で言えば続けてもらいたいところですけどね。
由実子
受験終わったら塾もいったん終わりってパターン良く聞きますよね。そういえば私もそうでした笑
野村
よくありますよね笑
目的が無い場合の塾探し
野村
次に目的がない場合ですね。「周りが言ってるから不安でしょうがない」とか「なんとなくこの時期は行くんじゃないの?」みたいな。「中学校2年生になったらもう行くんじゃない?」「〇〇ちゃんは塾行ってるらしいよ。」って聞くと不安ですよね。で、それが判断材料になっているのであれば、行くのはおススメしません。
由実子
でも不安です…まだ受験の準備してないの?とか言われたら…
野村
わかります。わかるんですけど…おススメしない1番の理由はですね、目的がないと伸びが悪いんですよ。
由実子
そうなんですか?
野村
個人差はありますが伸びが悪いパターンが多いですねぇ。もちろん通ってくれた方が塾としては売り上げになるんでありがたいですよ。ありがたいんですけど、本人も保護者さんも、「そこそこでいいんです」みたいな。「別に困ってないんですけど、時期かなと思って」みたいな感じで来られる方っていうのは、塾の目線からすると、熱量を出せないというか、そういうお子さんに対して、やらなきゃいけないんだぞ!頑張らなきゃいけないでしょ!って言えないじゃないですか。ボチボチでもやってくれてたら笑。結果として「頑張ろうね」ぐらいなふんわりな感じになっちゃうんですね。でもそれは指導としても目指すべき目的がない指導になっちゃうから、是が非でも成績上げてあげなきゃ!っていう使命感もなくなっちゃう。伸びにくいですよね。
由実子
なるほど…家庭からの依頼の熱量が塾にも移るって感じですか?
野村
それはそうだと思うなぁ個別は特に。私からすると成績に問題もなくて、自分でも勉強できて、特に目標もない…って時間割く意味あります?お金払う価値あります?っていう話で。お勉強困ってないんだったら、解答解説自分で読めばわかりますよ!大丈夫って…わかるのに、それを人に解説してもらいたいみたいな、そこにお金払う?みたいな感じになっちゃう。
由実子
でもそんなにリクエストを塾に言ってもいいのかなあ?とか思っちゃってます…汗
野村
それは言ってください。笑
そこで塾の反応を見たい!くらいの方が良い塾探しができますよ!逆に言うと、目的がない場合は、目的がありそうかを相談しに行くのもアリです。
由実子
勉強に対する目的ですか?
野村
そうそう。今の時期困ってないんだけど、塾行った方がいいって周りに言われるんです。どうなんですか?って。
色んな塾に行くと、カウンセラーみたいなことをしてくれる人、僕もそうですが、そんな人がいます。その人に、「みんな行ってるんで行かなきゃいけないかと思ってて…」と言ってみましょう。私だったら困ったらまた来てくださいねーって今なら言います。セールスの強いとこだったらもしかしたら「いやいや、それでもね。やらなきゃいけませんよ」みたいなこと言うかもしれないですけど、おおむね何しに来たんだろうこの人は…っていう目で一瞬見られると思います。笑
由実子
不審ですよね。笑
野村
例えば、これまでの勉強の様子や成績、進学状況などを話していくと、それであれば最終的にどういった将来をイメージしていますか?みたいなことをおそらくヒアリングされると思うので、公立高校には行ってほしいですとか大学には行ってほしいですとか言ってもらうと、じゃあそこに行くためにはこうサポートした方がいいですよねみたいなことは提案があると思うんですよね。
で、その出てきたものがお子さんや保護者さんの目的に繋がるかどうかっていうところが判断ポイントになります。
目的なく問合せたけど、それが、「あ、そうなんだ。なるほどなるほど!それは確かにやっておいた方がいいかもしれない。」と思えるようになって初めてお金払う価値になるかなと。それがご家庭と本人の目的になるんであれば、ぜひぜひ行ってほしいなと思います。
由実子
なるほど。目的が無く周りの影響とかで塾を探す場合は、そんな状況だと素直に聞いてどんな言葉が返ってくるか!ですね!
親と子どもの目的意識には差がありますよね…
由実子
でも、なかなか親と子どもの目的意識って共通しないところがあったりするじゃないですか?そういうところはどういうふうに考えたらいいんですかね?
野村
素晴らしい質問ですね。結論から言えば小中学生なら保護者さんの意識がです。高校生なら本人の意識…であってほしい笑
誰の目的意識が一番リアルな未来を想定しているかなんですよ。多分これを読んでいただく方っていうのは保護者さんが多いと思うので、保護者さん目線で言いますね。保護者さん目線で行くと、小中学生の子どもの将来って、じゃあ子どもがリアルに決めれるのか。っていう話になるんですよ。
由実子
難しいところもあるかと…
野村
そうですよね。例えば中学校3年生、進路の選択で、ここを選びましょうっていう時に、リアルに将来こういう進路を行ったらこうなるっていう想定ができてるっていうのは、基本保護者さんですよね。お子さんでできてるっていうとかなり意識レベルが高い。素晴らしいですけどね。想定できるレベル、 社会人としての知識とかっていうレベルまで上げていかなきゃいけない。それができてるお子さんは素晴らしいですね。小学生なんかもっとそうですよね。反抗期に入るか入らないかの時期とかね、なかなか将来何になる?とかって聞いても知らないって言いますよ。そういう時に、保護者さんからしたら、いやいや、こんな成績で危ないでしょ、って思うんだけど、一方で、お子さんには聞く耳が無い笑
由実子
そうですね…
野村
ちょっと脱線しました。戻りますね。
リアルに将来のことは誰が考えるんですか。って言ったら、保護者さんですよね。保護者さんの目的意識なんですよ、基本的には。それは、中学生だろうが小学生だろうが。高校生になると本人に持ってもらいたいですけど、中学生までは保護者さんの意識だと思います。保護者がこういう問題意識を持っています。
由実子
当たり前ですけど親の意識しっかり持たないとですね…
野村
持ってあげた方が子どものためにはなりますね。で、そのリアルな目的意識に対して本人をどうやって向かわせるかっていうのは目的の話ではなく手段の話なんですね。 本人の意思がどうこうは関係ないんですよ。その本人の意思が今こうだから、じゃあ方法としてはこういう方法を取ろうっていうお話。手段ですよね。本人の意思が前向きだから、じゃあ 頑張って応援する形を取ろう。本人が後ろ向きだから色んなものを見せて興味の幅を広げてあげよう。それって形は違いますけど、目的意識の主体っていうのはやっぱり保護者さんっていう形になってると思ういます。
由実子
なるほど。
野村
そして、ここは面白いとこなんですけど、塾に行ってそういう相談をしましょう。「今本人にやる気がなくて…」と保護者さんが相談されると…いろんな反応が返ってくると思います。「将来こうなりたいんですねと。わかりました。じゃあこういう風に持っていって、この子のモチベーション上げていきながら、学力はこういう風に上げていきましょう!」っていう提案があると塾、ない塾。提案が素敵な塾、イマイチな塾、提案がそもそもない塾…色々だと思います。本当に差がすごく出ます!
由実子
そんなにですか?
野村
えぇそれはもう笑
なので、その担当者を信頼できるかっていうことを、その担当者が言ってることとから判断しないといけません。あとはもちろん本人も大事。本人との相性、性格的などなど…このおじさんちょっときついなとか、っていうのであれば、どんな良い塾でもやっぱ続けるのは難しいってなっちゃうし。笑
そういうところも判断してもらって、 あくまで保護者さん主体で、子供たちをどうやって向けていくのかっていうところで考えてもらえばいいかなと。本人の意思は、そのスタート地点の状況に過ぎないと考えてもらえればと思います。
由実子
じゃあ、塾は保護者も主体的に体験するという感じですね。
野村
そうですね、塾の体験は親も子も別のお試しをしている…そういう風に選んでもらうといいかなと思います。
体験授業ってどの塾も無料でやってるので、ぜひ楽しんでみてください笑
合う塾or合わない塾の選び方
野村
で、塾と合うか合わないかって話で、今からちょっとした裏話しますね。塾側としては、体験授業で囲い込みたいんですよ。やっぱりいい講師あてたりとか、塾長が授業したりとかするわけですよ。それはもう通わせたいって感じでですね。それは我々も商売なので、当然ですよ。じゃあ、実際の授業はどうなのっていうところなんですけど。実際の授業の環境は全く同じなのかと言われたら。だいたいの塾が100%同じではない。ちょっとよそ行きバージョン笑
由実子
どんな種類のお店でもお試しはよそ行きバージョンですよね笑
野村
そうそう笑
実際の授業は、例えば個別塾だったら1対2とか3だったりするかもしれないというところで言うと、全く同じではなかったり。っていうことを踏まえて、じゃあ何で判断するの?となると、もう塾の責任者、塾長・教室長です。
由実子
責任者の方が大事ってことですね。
野村
です。じゃあどこを見るのか。これはすごく冷静に見てもらいたいんですけど、塾長・教室長が同じ社会人として見た時に好ましいか。教育者として、じゃないです。社会人として見てください。先生として見ないでください。先生として見たら、目が曇ります。少しでもありがたい、お世話になるんだから…と習ってもない段階で見てしまうとフィルターがかかってしまいます。
由実子
先生ってなんかありがたがってしまってるかもしれません。
野村
でしょ。でも神様でも仏様でもないわけですよ。だから、人として、仕事をする人間として、対応してくれる人間として真摯であるかかどうかとか、言葉遣いも含めてですね、対応、立ち振る舞いっていうのが、好ましいかどうかとか。
ヘマを打つんですよ、僕らも。人間なんでヘマ打つんですね。日程の間違いもするし、今日英語だって約束してたのに、数学やっちゃったり…すいません!ってこともゼロじゃあありません。もちろん滅多にないことですよ。でも長いこと塾やってる中ではヘマを打つことだってあります。
由実子
人間ですから間違うこともありますよね…
野村
私も、謝り倒したことだって若いころはあります。そういうことをした時にも「いつもよくしてもらってるからいいんですよ」「人間ですからそんなこともあるよね」って思えるかどうか。「いつもありがとう」って素直に言えるかどうか、これめちゃめちゃ大事なんですよね。
「なんだよ!!」って思った瞬間にもうダメで、いつもいつもよくしてくれてありがとうってお互い言える関係になれるかどうかが合うか合わないかの鍵です。これを見るなら「人」として見なければいけなくて、「先生フィルター」をかけて見てはいけません。
由実子
なるほど。
野村
保護者さんに「うちの子を任せて安心」、生徒さんに「先生大好き!」って言ってもらるかどうかって、僕らもそれで試されていると思うんですよ。
だからじゃないけど、そう思うから一生懸命になれる部分はあります。信頼できる塾にじゃないとお子さんを預けられないでしょ。
由実子
それはもちろん。保護者としては、安心して預けられるかどうかはかなり重要なポイントです!
野村
だからこそ「人」を見てもらうの、とっても大事です!
まあ人だけ良くてね、グズグズな人もいるので、そこを見抜いていただきたいですね。笑