「何度言ったら覚えるの…」と悩む保護者の方へ。図解でわかる復習のコツ
2026/08/11
広島でも厳しい暑さが続く中、毎日、家事に仕事にと慌ただしく過ぎていく日常。その中でお子様の宿題やテスト勉強の様子を見守られているお母様、本当にお疲れ様です。
「昨日あんなに時間をかけて教えたのに、今日の小テストではすっかり忘れていた」
「テスト前日になって、前にやったはずの範囲をイチからやり直している」
そんなお子様の姿を目の当たりにして、つい「どうして忘れちゃうの!」と声を荒げてしまい、後になって自己嫌悪に陥ってしまうことはないでしょうか。
「私のサポートが足りないのかしら」「この子は勉強に向いていないのかもしれない」と、ご自身やお子様を責めてしまう夜もあるかもしれません。
しかし、どうかご安心ください。お子様が昨日勉強したことを忘れてしまうのは、決して努力が足りないからでも、お母様の教え方が悪いからでもありません。それは、人間の脳が正常に働いているという証拠なのです。
この記事では、教育心理学や脳科学の分野で広く知られる「エビングハウスの忘却曲線」というデータをもとに、お子様が「忘れてしまう理由」と、ご家庭ですぐに取り入れられる「忘れにくくなる学習法」を図解を交えてご紹介します。
理由と対策がわかれば、お子様にかける言葉も変わり、ご家庭での学習時間はもっと穏やかで前向きなものになるはずです。お母様の肩の荷を少しでも下ろすお手伝いができれば幸いです。
目次
なぜ人間は「忘れる」のか?
脳の仕組みを知る
お子様のノートを見て、「昨日できた問題が、どうして今日は解けないの?」と不思議に思われるのは当然のことです。
目の前で一生懸命ドリルを解いていた姿を見ているからこそ、その努力がリセットされてしまったように感じて、お母様も悔しいお気持ちになられますよね。
実は、人間の脳は「忘れる」ように初期設定されています。
私たちの脳には毎日、膨大な量の情報が流れ込んできます。もし、これらをすべて記憶し続けていたら、脳はすぐにパンクしてしまいます。
そのため、脳は「生きていく上で本当に必要な情報」以外は、どんどん捨てていくという防衛本能を持っているのです。
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスが行った有名な「忘却曲線」の実験データによると、学習した直後から忘却は始まり、なんと「20分後には42%」「1日後には74%」もの情報を忘れてしまう(再学習にそれだけの時間が余分にかかる)ことが示されています。
お子様が「昨日覚えた英単語を、今日になったら半分以上忘れている」のは、サボっているわけではなく、生物として極めて当たり前の現象なのです。
文部科学省のデータも示す
「家庭学習・復習」の重要性
忘れるのが当たり前とはいえ、学校のテストや受験を控えるお子様を持つお母様にとっては、「じゃあ、どうすれば覚えていられるの?」というのが一番の気がかりですよね。
文部科学省が毎年実施している「全国学力・学習状況調査」の生活習慣・学習環境に関するデータを見ると、「学校の授業の復習をしている」と答えた児童生徒ほど、各教科の平均正答率が高い傾向がはっきりと出ています。
学校で1回授業を聞いただけでは、記憶は薄れていきます。
しかし、ご家庭で復習を行うことで、脳に「これは何度も入ってくる情報だから重要な知識だ!」と勘違いさせ、長期記憶として定着させることができるのです。
お母様が「復習しなさい」と声をかけるのは、お子様の学力を伸ばす上で非常に正しいアプローチなのです。
科学的根拠に基づいた
「記憶に定着する3つの学習法」
では、具体的にどのように学習すれば、忘却曲線のカーブを緩やかにし、記憶を定着させることができるのでしょうか。
ここでは、認知心理学の研究で効果が実証されている3つの学習法を分かりやすく図解でご紹介します。
1. 分散学習(スペースド・リハーサル)
適切なタイミングでの復習
一度にまとめて長時間の勉強(一夜漬けなど)をするよりも、日数を空けて何度も学習する「分散学習」の方が、記憶の定着率が高いことが明らかになっています。
1回目の復習: 学習した「翌日」(急激な忘れを防ぎます)
2回目の復習: 1回目の復習から「3日〜1週間後」
3回目の復習: 2回目の復習から「2週間〜1ヶ月後」
一度完全に忘れてしまってからゼロベースで覚え直すよりも、まだ少し記憶に残っている状態で「思い出す」作業をする方が、結果的にかかる学習時間は圧倒的に短くて済みます。
2. 検索練習(アクティブリコール)
思い出すプロセスが記憶を強くする
教科書を何度も繰り返し読むだけでは、脳は「分かったつもり」になるだけで、実際のテストでは引き出せません。
「インプット(読む・聞く)」よりも「アウトプット(思い出す・テストする)」の方が、記憶の定着に大きく貢献します。
ご家庭で簡単にできる検索練習として、お母様が「生徒役」になる方法がおすすめです。
「今日学校でどんなこと習ったの?お母さんに教えて」と尋ねてみてください。
人に説明するためには、脳の中で情報を整理し、言葉にして引き出す(検索する)必要があります。
お母様がウンウンと聞いてあげるだけで、立派な学習になるのです。
3. 精緻化(せいちか)リハーサル:
意味や関連性を持たせる
私たちは「意味があるもの」「自分の興味と関連しているもの」は忘れにくいという特徴を持っています。
ただ丸暗記するのではなく、情報に意味付けをする「精緻化リハーサル」が効果的です。
例えば歴史の年号を覚えるとき、「なぜこの年にその事件が起きたのか?」という背景と一緒に覚えると、記憶のフックがたくさんでき、一つのフックが外れても別のフックから思い出すことができます。
「この理科の現象って、普段お母さんが料理している時のアレと同じだね!」など、日常の出来事と結びつけてあげる声かけも、ご家庭だからこそできる素晴らしいサポートです。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
今回は「エビングハウスの忘却曲線」というデータをもとに、人間は忘れる生き物であること、そして「分散学習」「検索練習」「精緻化リハーサル」を取り入れることで、効率よく記憶を定着させられることをお伝えしました。
お子様が昨日やったことを忘れてしまっても、ご自分を責めたりする必要はありません。
それはお子様の脳が健康に働いている証拠です。ご家庭での復習は確実に力になりますが、お母様が一人で背負い込む必要はありません。
「忘れるものだから、また思い出せばいいよね」。そんなおおらかな気持ちで、お子様の頑張りを認め、見守っていただければと思います。
ご家庭で「復習のタイミング」や「正しい思い出し方」を管理し続けるのは、お忙しい保護者の方にとって決して簡単なことではありません。
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